2003年01月16日
あるところにおじいさんが住んでいました。
ある日、おじいさんは洗濯をしようと思い立ち
田んぼのあぜ道をのらりくらりと、川へ向かいました。
「今日もいい天気じゃのお」
川へ着いたおじいさんは、とりあえずしょんべんです。
「じょじょっこだ〜の ふなっこだ〜の じょんじょろり〜」
しょんべんが止まるまで、この歌は続きます。
しょんべんも流れ去り、洗濯も終えたおじいさんは
家路の途中、毎日見慣れている自分の田んぼで立ち止まり、
一時ぼーっと、今年もよく実った米を眺めていました。
収穫にはもうしばらくで、今日は何もすることはありません。
そこでおじいさんは、ふと思いつきました。
「そうじゃ。今日はまだ日が高い。
ひとつミステリーサークルでも作ってみなを驚かそう」
そう思うや否や、おじいさんは洗濯物を傍らに置き
せっせとミステリーサークルを作り始めました。
辺りには誰もいません。
サークル作りは始めは不慣れで時間がかかりましたが、
おじいさんも次第に慣れていきました。
しかしサークルが半円程になった頃から
ひとりふたりと見物人が立ち止まるようになり、
4分の3ぐらい出来上がったときには
あたりは見物人でいっぱいになってました。
そこでおじいさんはサークル作りをやめ、
田んぼの脇に体操座りしました。
不思議そうに眺めてた見物人のひとり、
隣の家の茂吉さんがおじいさんに話し掛けてきました。
茂吉:「じいさん、なにしちょるん?」
おじい:「いや、ミステリーサークル作ろうと思うたんじゃ」
茂吉:「なんで?」
おじい:「みなを驚かそう思うたんじゃ」
茂吉:「なんでみなが驚くんじゃ?」
おじい:「田んぼにサークルがあったら驚く思うたんじゃ」
茂吉:「おお、たまげたよ。けどせっかく作った米じゃのに」
おじい:「大丈夫じゃ。わしひとり食うぐらい充分にある」
茂吉:「けど、あれじゃサークルじゃなくてパックマンじゃて」
おじい:「ほんにのう。はっはっはっ」
茂吉:「はっはっは。じいさん、泥だらけじゃあよ」
おじい:「よかよか。着替えはあそけある」
茂吉:「そうか。どうじゃじいさん。帰って一杯」
おじい:「いや、今日は疲れたから寝ろ」
茂吉:「やっはっは。ほんじゃ、ま、帰ろか」
おじい:「ほじゃの」
あたりはもうだいぶ日も暮れてきていました。
おじいさんはまたしょんべんをしたくなりましたが、
なんとなく帰り着くまでがまんしようと思いました。
ふたりはいつものように仲良く家路につきました。
おしまい。
どうでしょう?
オチもメッセージも不思議もない話に挑戦してみました。
ちゃんちゃん。